コナブロっ!

名探偵コナンの考察用メモのブログです

劇場版 第1弾『時計じかけの摩天楼』

記念すべき劇場版第1作!完成度の高い傑作

 

 

1997年に公開された、劇場版コナンの第1作目です。以降、毎年の恒例となっている劇場版も、時代によって大きく違うところもありますが、個人的には初期の作品が好き。特に、この第1作目は完成度が高い傑作と思ってます。

 

爆弾魔と戦うダイナミックさ

今作では、殺人事件が起こりません。冒頭のオープニングでは起こるのですが、名探偵コナン劇場版ではお馴染みとなった「説明ムービー」への導入編。

なので、本編の方では"殺人事件を解く"という推理モノの構築がなし。全編を通して"爆弾魔と戦う"というパニックアクション的なものになってます。

これが良い。映画的というか、ダイナミックさがGOOD。

いや、名探偵コナンと言えば"殺人事件を解く"推理モノという構築はあって然るべきなのだが、これは上手くやらないとダイナミックさが欠けてしまうんですね。

これは、コナンの劇場版を作る上では、常に大きなテーマだと思うんだけど。おとなしすぎると"テレビスペシャルっぽい"感じになるし、いきすぎると"フィクションっぽい"感じになるし。バランスが難しい。

そして、後半の劇場版は【ダイナミックさ=激しすぎるアクション】となってしまいがち。そういう部分もエンタメとしては面白いんですがね。

 

テンポの良い展開と見せ場の転換

前半は登場人物の設定や説明的なシーンが続く。そして後半の

(1)最初の爆弾(小)が二つ。

(2)「東都環状線に爆弾」というテロ。

(3)最後に大きな爆弾を控えたクライマックス。

という流れが、緊張感を途切らせることなく、良いテンポで進むのが素晴らしい。

 

最初の爆弾(小)は、コナンが中心になって解決するんですが、街中を駆けずり回り、危機一髪なところをギリギリで解決していく。パニックアクションのようなテンポを導入して、ハラハラ感を高めていく。ここはテレビスペシャル感を残して、盛り上がりがいい感じ。

 

そして解決して一休み〜となりそうなところで、東都環状線に複数の爆弾を仕掛ける、というテロレベルへ。ここから映画感が高まり、ストーリー上の最初のピークへ。

グッと場面が広がり、緊迫感が増すんだけども、それと同時にコナンも怪我をしてしまい前線から抜けて、警察や小五郎が介入する形に。そうすることでテロ対策レベルでも無理がない展開になるし、推理をするコナン達と、実務レベルで対処する鉄道会社の人々という役割分散がされる。

 

最近の映画にある「コナンくんのやりすぎなアクション」という変なピークではなく、場面設定が大きく変化を迎える演出が、わかりやすくて面白い。

 

で、無事に解決!終わった!

かと思ったところに「盗まれた爆薬の3/4はまだ見つかっていない」というところで、最後のクライマックスへの引きと不安を煽り、いい感じに最終局面へと進む。

 

そして最後は、クライマックスへ。

謎解き(犯人特定)という、推理モノのクライマックスを経て、劇場版のクライマックスを飾る最後の大舞台へ。

"大きな命の危機場面から脱出する"という終盤の展開は、劇場版のラストとしては定番化しているんですが、今作はそこもちょっと違います。蘭がソーイングセットのハサミで爆弾のコードを切るという小さなアクションの結果、結果的に舞台は崩壊しないで、無事に助かるんですね。

さっきまでのテロ規模の大きな戦いと解決から、打って変わって、とても小さな舞台となります。しかし、それが功を奏して、蘭とコナン(新一)の二人にスポットライトが当たって、最後は二人の話として見せ場が出来上がります。

ここまで大きな舞台設定とダイナミックな攻防を進めてきたのに、最後の最後に爆弾を止めるのは、ただの女子高生。この落差が良いのですな。別に、派手なアクションもいいんだけどさ、今作の終わり方は綺麗だよー。

スピード感の緩急、舞台設定の緩急が上手いし、見せ場はバッチリ見せてくれる。最後まで一気に見れる映画でした。

 

心理描写と伏線が効いている

さっきも書いたけど、後半の劇場版で当たり前になった【ダイナミックさ=激しすぎるアクション】では、見た目の面白さとは裏腹に、入り込め無いんですよね。飛行機操縦したり、ありえない勢いで廃墟から脱出したり、とか。そういうムチャが、今作ではあまり無いのが特徴的。

ただ、アクション的なダイナミックさが無い分、心理描写や伏線を上手に使ってハラハラさせることは、とてもうまく描かれています。

 

赤がラッキーカラー

新一への誕生日プレゼントのために、蘭は占いで書かれた「ラッキーカラーの赤」をベースにプレゼントを選びます。しかも、蘭が好きな色としても表現されて、最後の最後に「赤か青か」を選択する場面で、大きな意味を持つようになっていきます。犯人の森谷も、これを踏まえて赤をトラップとして設定してましたね。

ここに、蘭が新一と見ようとしてた映画のタイトル「赤い糸の伝説」が活きてきます。作中でもコナンが「うへ〜、少女趣味」と心の中で吐露していました。このカットが挟まったことで、蘭の好きな色の赤、ラッキーカラーの赤、プレゼントの赤という設定と、映画タイトルとしての「赤」は、少々立ち位置が違うものとして刷り込まれました。特に、コナン視点では。そのため、最後にコナンも「なんで赤いコードを切ったの?」と疑問に思うわけですね。

しかし蘭は、この「赤い糸の伝説」を大事にしていて、最後の舞台に入る直前にも映画看板を見上げている描写が、一瞬ですが入ります。これが、なんとも言えないワンカットですね。

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鉄道会社の人たちの描写

今作の途中、最初のピークとして描かれる東都環状線の爆破テロ。そこでの見せ場として、コナンや警察関係者じゃなく鉄道会社の方々が活躍する場面が描かれるんです。そこの様子が、リアルでいいんですよね。

特に、コナンが新一の声で電話をし、爆弾の設置された場所を特定した部分。映画を見ている観客視線では「なるほど!爆弾はそこか!【××の×】はそういう意味か!」と納得しているものの、当然ながら運転をしている人には、それが真実かどうか知る由もなくなので、時速60km以下に減速しても、本当に大丈夫なのか?という不安がなくなるわけじゃなく、そこもしっかり描写してます。ハンドルを握る手に、大多数の乗客の命がかかっている。まさしく手に汗握る、という場面をしっかり見せてくれるんですね。

そして、それが解決した後も、安心する警察とは裏腹に「まだ終わっていません」というスタンスの鉄道会社の姿勢。全ての車両の安全が確保されるまでは、安心ができるわけじゃない、と。何気ないようで、この部分を描くことがリアリティを表現して、物理的なダイナミックさは無くとも、心理的なダイナミックさを演出してくれるんですよねー。色々な人たちが、関係しあっている様子っていうんですかね。

 

サイコパスな犯人描写

今回の犯人は森谷帝二。自身の作った建築物はシンメトリーであるべきなのに、予算の問題や都市開発の問題で完全なシンメトリーにならなかった。だから爆破をする、というぶっ飛んだ設定。

いや、ぶっ飛んだ設定は毎回の劇場版の犯人の定番なんだけど、ここはぶっ飛んだ感じが中途半端な犯人だと消化不良なんですよね。逆に、普通の怨恨レベルになっちゃうと、映画のダイナミックさが急激に縮こまるので。

彼は、そういう意味ではちゃんとサイコパスだったのがいい。

若い建築家は美意識が足らない!と言うあたりも感情がこもった感じが出ているし、何気に「本名の漢字を貞治から帝二に変えた」っていう設定の時に、コナンも「もはや病気だな」と言っていた。今回の犯人像については、ここで全て説明がつくかもしれん。

で、最後の「赤と青のコード」を(赤を切るだろうと踏んだ上で)敢えてふっかけてきているところや、その上で「新一のために3分用意する」あたりも、行動がサイコパスっぽさを表現してくれていて、素晴らしいんですよね。一貫性がある。美学からくる怒りのエネルギーが、映画っぽいな〜と。

劇場版の犯人の印象としても、トップ3に入るくらいの印象でした。

 

 

原作と関わる大事な部分

新一の誕生日は5月4日

今回は、ストーリー的にも大事になる新一の誕生日。映画の、このエピソードが初出です。

 

白鳥刑事が初登場

今や原作でも普通に出ている白鳥刑事が、今作品で初登場!

劇場版ゲストとして登場してから、原作へ準レギュラー昇格したキャラクターですね。この第1作ではミスリード役として出ているんですが、正直なところ、そういう描写はあまり無くて、最後の小五郎の推理ミス対象者として浮かびあがるくらいですね。

 

毛利小五郎のキャラクター設定

これは個人的に気になる部分なので、敢えて取り上げたいと思います。毛利小五郎は「へっぽこ探偵」的な立ち位置で「ダメおやじ」と取り上げられつつも、実のところ超カッコイイ側面も持ち合わせていて、それが後の劇場版では割と出てきます。原作よりも頻繁かも?

 

今作では最後の場面です。見せ場ほどのものは無いのですが、蘭を人質にとられている状況での森谷の「安心しろ。あんたの娘が吹っ飛ぶまで15分もある。」と言う非情な言葉に、激昂して胸ぐらを掴むシーン。ここは声優の神谷さんの演技力もバッチリハマってて、なんだか"普段の小五郎とは明らかに違う"感じを受けます。

小五郎のカッコイイところは"ハードボイルド"なところなんですよね。ダメな時はめっぽうダメなのに、人情味が溢れる時に見せる"男気"みたいなところが、多分作中で一番似合うキャラだと思うんです。

 

 

 あとは、途中でコナンが病室で目を覚ました時に、阿笠博士に抑えられつつ

コナン

「・・・ここは?」

小五郎

「病院だっ!!!」

「コナンっ!一体どういうことなんだ!?」

「分かるように説明しろっ!!!」

と声を荒らげるんですが、その後のシーンで

コナン

「それと、あの自転車、ダメにしちゃったんで、おじさん、後で弁償してくれる?」

小五郎

「そんなことより!どうしてこんな無茶をしたんだ!?」

「もう少しでお前が死ぬとこだったんだぞ!」

コナン

「ごめんなさい」

 って言うところね。熱い小五郎の説教に愛を感じます。特に、初期はまだまだコナンのことを「居候」って紹介することも多くて、家族の一員にはなりきってないところがチラホラするものの。小五郎の良さは、また他の劇場版でも綴りたいですね。

 

 

恒例の青山原画

原作者の青山剛昌さんが手がけるワンシーン。通称"青山原画"。グッと見せる場面やストーリーの中で見せ場となるシーンに使われることが多いです。これも劇場版のコナンを見るときの楽しみのひとつ。

今回は二つ。

「死ぬときは一緒だぜ」

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今作の最も大きな見せ場ですね。

 

そして、全てが解決したあと、蘭がコナンのところへ向かうシーン。包帯を巻いたコナンが蘭を待ちます。

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ここも原作者の青山先生はこだわりのワンシーンだったそうですね。原作やアニメでは、怪我をしても次の回では治っていたり、さほど大きな怪我の描写にはならないようです。けど、最後の解決まで頑張ってきた様子の表れとして、包帯を巻いたシーンを原画で描かれたようです。確かに、壮大なストーリーが終わりを迎える感じがして、ホッとしますね。